数字で見る「合法ヒット&ブロー賭博」

2025/11/06 投稿

はじめに

私がいつも楽しく拝見しているさらば青春の光Official Youtube Channelに2025年11月1日に投稿された欲望渦巻く合法ヒット&ブロー賭博爆誕!!高額賞金を手にする強者は誰だ!!。いつもの“運”勝負なのか、分析を通して明らかにしたいと思います。

対象読者

さらばのYouTube好きな方であれば、どなたでもお楽しみいただけます。先に本編をご覧になって下さい。そのうえで動画と合わせて見てください。

具体的な分析手法などについては追って記事にできればと思います。そちらはゲーム情報学に明るい方向けになると思います。

いつもと何が違う?

さらば青春の光の普段のギャンブル回は 「バカラ」「競馬」「大富豪」 などなど、基本的に 芸能知識 を基にしたゲームが行われます。しかし、今回は純粋に数字だけを用いたヒット&ブローが題材でした。ヒットとブローの履歴から数字の候補を考え、また、効率的に絞れそうな数字を考える必要があるなど、実力ゲームが展開されています。最後の岡野さんの立ち回りはこの実力ゲームを打破しますが結果的には…

ルール

基本的には4ケタのHit&Blowのルールです。2つ注意点があります。

  1. 数字は1~9のみで0は用いない
  2. 数字の重複を認める

このルールは9色のマスターマインドとみなせます。さらに同じターンで答えにたどり着いた場合は、数字が大きい方が勝利というルールが途中から追加されます。

動画ではこのほかに、指定した数字が取引するギャラになるというルールもありますが、今回は「大きい数字の方が選択しやすいだろう」くらいの解釈で分析します。

分析するもの

候補数:それまでのターンのヒットとブローの結果と辻褄があう、正解候補の数字の個数

最悪手数:どんなに運が悪くても正解にたどり着ける最短手数

候補数はターンを増すごとに絞られていくので、だんだんと少なくなっていきます。数字の個数が1になってしまうと、次のターンで確実に正解されてしまいます。最悪手数はうまく推理すれば1ターンで1手減らせますし、隠す数字と指定した数字の運次第では1ターンで2手減ることもあり得ます。最終的に1手になると次のターンで正解されてしまいます。つまりどちらの数字も少ないとピンチということになります。

各試合の分析

槇尾vs尾関

ターン槇尾の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数尾関の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数
1--65617--65617
298760-3268561771-011186
389610-276452370-12935
477892-020359780-11054
599992-02268431-1203
676992-21162821-0133
767994-01063342-072
槇尾さんはしっかりと候補数を減らしながら答えにたどり着いています。最初に最悪手数を7→5にできたのは運が良かったと言えます。途中、9999といって笑われていますが、結果的に候補を20→2とするかなり良い手になりました。
尾関さんは途中で手数を減らせていない部分があるのでこれは大悪手です。最終的には、1183, 3183, 6369, 6396, 6399, 6454, 6455, 6456, 6465, 6554, 6564, 6654, 8183が残っていました。

すなおvs岡野

ターンすなおの推測ヒット-ブロー候補数最悪手数岡野の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数
1--65617--65617
287961-0864545120-213746
389761-0504554791-12145
485431-067453481-0363
588881-08355272-022
682112-01155911-122
782224-01051171-011
動画内でも 「あんまり東工大っぽくなかった」 と言われている、すなおさんの8976の推理ですが、その通りで、最悪手数は5のままで減らせない悪手となっています。しかし代わりに2手減らす場面が2ターンあったのでかなり速く絞られて行きました。
岡野さんは、5527と推理した段階で、5167, 5926の2通りとなっています。このとき尾関さんは分かったと思ったわけですが、2通りを外して5167だと思ったのでしょう。岡野さんの最後の2回のターンでは、このどちらとも推理せず絞り切れていません。ただ運よく最後の推理で1つには絞れたので古川さんは5926を当てています。

槇尾vsすなお

ターン槇尾の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数すなおの推測ヒット-ブロー候補数最悪手数
1--65617--65617
298760-21374667891-22406
354320-1516569870-31145
488881-0213557960-2304
599991-056487160-2123
633330-041426791-152
789542-01176391-211
889214-01038793-011
槇尾さんは8888, 9999, 3333と怒涛のぞろ目で攻めますがこれはあまりよい手ではなく、8888, 3333で手を減らせていません。この試合の勝因は41候補ある状態から8954で1つに絞った引きの良さです。手数も一気に3減らしています。
すなおさんは序盤順調に進めています。途中「ダッサ」といわれてしまう場面では、まだ30候補くらいある状態なので、何か勘違いあったのでしょうか。そして、最後のターンより前の段階ですでに1つの数字に絞られています。つまり、原理的には同点に持ち込めました。おそらくひとつ前の7639で7がブローだと思ってしまったのでしょう。

岡野vs尾関

ターン岡野の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数尾関の推測ヒット-ブロー候補数最悪手数
1--65617--65617
236310-11956691232-02945
349860-2384596530-0254
428650-181471242-093
517980-214381283-042
681214-010
尾関さんについては運も味方し序盤から順調に絞っています。最後のターンを前にして、1128, 2128, 8121, 8122が残っていて、原理的には最悪2手必要ですが、ゲームの性質上1128, 2128は考えにくいので事実上2択になっています。そこをきちんと当てて勝利しています。
動画では、駆け引きにより特別ルールが適用され、尾関さんの2番目の数字が4、3番目の数字が1であることが明かされます。この段階で、5149, 5419, 8114, 8144, 8347, 8374, 8414, 8473, 9124, 9142, 9154, 9214, 9412, 9514が残っていますからヒントを適用すると、5419, 8414, 9412との3択になります。岡野さんがもし3択に気が付いた場合、8414, 9412では数字の大きさで負けてしまうので、5419に賭けるしかないでしょう。実際には9412が正解であることが判明し、虚しく終わります。

まとめ

ゲームの序盤はある程度適当に数字を言っても候補を絞ることができます。後半はある程度候補となる数字を予想して、それが当てはまるかどうかを次のターンで試していけば効率良く減らすことができます。しかし、コンピュータのようにすべての数字のパターンを考慮できるわけではないので、時間制限がある中では抜けが発生してしまうようです。今回見た4戦でも、勝った人が必ずしも良い手だけだったわけではなく、運で2手減らすような場面が勝因であることが多いです。結局は運のゲームということになるのでしょうか。